そんなのありか!「BeARIKA」が生みだす、次世代型SCのカタチ〈柏髙島屋ステーションモール〉

コミュニティ

創業以来、商業施設の開発・運営を事業の中心としてきた東神開発。すでに成熟市場と言える国内においては、「サステナビリティ」と「コミュニティ」をキーワードに、持続的に成長し得る「次世代型SC(ショッピングセンター)」への転換に取り組んでいます。
今回は、そのひとつのカタチとして生まれた、柏髙島屋ステーションモールの複合型コミュニティスペース「BeARIKA(ビーアリカ)」についてご紹介します。


1周年を迎えたBeARIKA

昨年秋、柏髙島屋ステーションモールの新館10F・11Fに複合型コミュニティスペース「BeARIKA」が誕生、2025年9月21日に開業1周年を迎えました。
2008年の新館開業以来、レストランフロアとして長年親しまれてきたこの2フロア。現在は、5種類のレンタルスペースと、月額利用できる10部屋のブース、シェアラウンジ、カフェ併設のオープンスペースで構成される、「柏の人の居場所」として、柏の街にゆかりを持つ方々に親しまれています。
利用者の自由な発想によって、さまざまな活動が繰り広げられているBeARIKA。1年間の歩みを経て、どのような場所へと成長したのでしょうか。

柏髙島屋ステーションモール新館10・11Fに広がるBeARIKA

柏の街を柏の人たちと一緒に楽しむ

BeARIKAの企画から携わり、現在は運営の中心メンバーである吉原さんに、この1年間のBeARIKAの変化とこれまでの取り組みについて伺いました。

SC事業本部千葉事業部 柏宣伝グループ 吉原美優さん

[吉原]
開業から1年が経ち、様々なお客様が足を運んでくださるようになったと実感しています。私たちが主体となり、施設として開催する イベント以外にも、交流会やマルシェ、勉強会や作品の展示会など、街と人・人と人とのつながりを深める取り組みが、お客様が主体となって行われています。開業1周年を迎えた9月には、「Be Be Be!祭」と称した1周年記念イベントを開催しました。このイベントでも、柏で活躍されるみなさんのお力が必要不可欠でした。トークイベントやパネル展示、ラジオの公開放送の開催、参加型ワークショップの実施など、2日間で合計8つの企画を実施し、幅広い年齢層のお客様にお楽しみいただだくことができたと感じています。また、改めてBeARIKAそのものについて柏のみなさんにお伝えする機会にもなり、柏の街を柏の人たちと一緒に楽しむことができる機会になりました。

「Be Be Be!祭」期間中、吉原さんによるBeARIKAの紹介に耳を傾ける参加者のみなさん

地域との関係性をアップデートする

このような企画のディレクションや、施設運営のサポートをいただいているのが、株式会社リビタのみなさん。BeARIKAの企画構想から運営まで、二人三脚でBeARIKAを共に育ててきた、当社の大切なパートナーです。東神開発との関係について、株式会社リビタの力丸さんにお話を伺いました。

株式会社リビタ 力丸朋子さん

プロジェクト当初より一貫して「地域との関係性を強めていきたい」「柏の皆さんの居場所をつくりたい」と話されていたのが印象に残っています。そして東神開発さんの中には、ショッピングセンター(SC)を運営する立場として「SCは変わっていかなければならない」という強い想いがあったように感じます。リビタとしては、その想いを汲み上げながら施設の目的や機能を整理して解像度を上げていく企画構想サポートから、在りたい姿に向けて持続性と自走性を持つことを意識した運営フェーズにおける伴走支援をさせていただいております。SCにおける従来の顧客との関係性をアップデートする、ものを売る・買うといったコミュニケーション以外の選択肢を増やす、地域と商業施設を繋げる。そういった地域におけるSCの役割と価値を問い直す、東神開発さんらしさ溢れるプロジェクトであると思っています。


「グッドデザイン賞」を受賞

これまでのBeARIKAの歩みを象徴する出来事のひとつが、本年10月に発表された2025年度「グッドデザイン賞」の受賞です。今年4月1日に募集が開始され、5,225件が審査対象となりました。これらに対して、国内外のデザイン関連分野の第一人者で編成された審査委員会によって、二次にわたる厳正な審査を実施した結果、全1,619件の受賞が決定。そのひとつに、「BeARIKA」が選出されました。

審査委員の評価
駅直結の商業施設内という日常的な空間において、誰でも簡単に展示や居場所が設営可能、まただからこそ気軽に何かやってみようと思う人が増える、という状況を生み出している点を評価した。イベント毎に発生していたリソースや廃棄物を削減できるのも素晴らしい。設計的には、棚柱を60度グリッドで配置することで生まれる空間のリズムが、画一的な雰囲気を避け、場を楽しく活動的に見せることに成功している。また棚柱自体の即物的な存在感が、空間のハッカビリティを明示するサインとしても機能している。
ー2025グッドデザイン賞 WEBサイトより引用ー

受賞の詳細はこちらから


人々が自らの居場所を生み出すきっかけとなる「ゆる柱」

受賞の大きな評価点ともなった空間デザイン。設計を手がけていただいたのは、株式会社三井嶺建築設計事務所 代表 三井嶺さん。東神開発の「地域に開かれた、柏の人の居場所をつくりたい」という想いを受け止め、具現化していただきました。

株式会社三井嶺建築設計事務所 代表 三井嶺さん

使い手が手軽に関わることのできる取っ掛かりのあるデザインとして、誰もが見覚えのある可動棚の棚柱をぐるりと円環状に束ね、林立させることを考えました。 棚柱を使っているため、どこにでもフックやアームを掛けられ、直感的に使える気軽さが特徴です。存在感がどことなくユルいので「ゆる柱」というニックネームがつきました。 「ゆる柱」のグリッドにあわせたモジュール什器を組み合わせることで、利用者自身が自在に空間を設えられます。イベントごとに什器を新たに作る必要がなくリユース可能なため、廃棄も出ず、設営時間も短く済みます。 ゆる柱は場をつくるきっかけであり、自然の林のような存在です。木々にロープを渡しタープを掛けるように、アームをつけて棚をかけ渡したりテーブルを足したりしながら、街の人々が居場所を生み出すことができます。 機能・空間・資源のいずれにおいても持続性のある、新しいユニバーサルスペースの提案です。
ー2025グッドデザイン賞 「経緯とその成果」より引用ー

三井さんによる「ゆる柱」のコンセプトスケッチ (資料:三井嶺建築設計事務所)
「ゆる柱」には、棚板や展示壁、ロープやフックもかけ渡すことができる

街の人の声と力を支えに成長していく場所に

複数のパートナーと共につくり上げてきたBeARIKA。吉原さんはこれからの展望をこう話します。

[吉原]
まだまだ成長途中のBeARIKAですが、「居場所」としての役割を少しずつ果たせるようになってきたと感じています。カフェを併設したオープンスペースでは、ビジネスマンやお子様連れのご家族、高校生などが、コーヒーを片手におしゃべりを楽しんだり、勉強をしたり、居場所として楽しんでいただけている様子を日々目にしています。レンタルスペースは一度のみならず、二度、三度と利用を重ねてくださるお客様も増えてきました。一般のお客様のみならず、公共施設やまちづくりにかかわる団体様との繋がりも深まってきています。
これからも、街のみなさまの声や力に支えていただきながら、日々この街の新しい魅力を発見し、楽しむ仲間と出会うプロセスを大切にしながら、「柏の街の居場所」として一歩一歩成長していきたいです。

BeARIKA 公式WEBサイトはこちら


東神開発が目指す「次世代型SC」のカタチとは

今回は、当社が志す「次世代型SC」の在り方のひとつとして、柏髙島屋ステーションモールの「BeARIKA」をご紹介しました。
今後、当社が展開する国内SCにおいては、地域社会が求める“共有価値”を生み出し、ステークホルダーからの共感を得ることで持続的に成長し得る“次世代型SCへの転換”を推進してまいります。そして、ショッピングセンターというリアルの場の特性を最大限に活かし、体験価値や新たなコンテンツなどの新たな来店動機を創出するとともに、循環型社会のターミナル拠点化を推進するなど、地域の社会インフラとしても機能していくことを目指していきます。

当社のサステナビリティへの取り組みはこちら