PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
ベトナム事業
前人未踏に挑む魂は、脈々と続いていく。
ベトナム進出・事業開発プロジェクト
流山おおたかの森S・Cの開発以降、人口動態や限定的な商業開発の好適地を踏まえると、日本国内だけで新たな事業機会の獲得や成長を目指すことに限界を感じ、事業拡大と会社の成長には、海外への進出が不可欠だった。そこで白羽の矢が立ったのはベトナム。「成長マーケット」「日本との親和性」「政治体制の安定」という長期安定的な不動産事業に欠かせない3要素が満たされた同国への進出が始まった。
2007年にゼロから始まったこのプロジェクトは、様々な困難を乗り越え、2016年に SAIGON CENTRE(アンカーテナントはホーチミン髙島屋)の開業と花を咲かせる。それは後に、ホーチミンの高級ショッピングセンターとしての地位を確立するまでに至り、その実績が評価され、現在進行中のハノイ大規模複合施設の開発へと繋がっている。新規事業として始まったこのベトナム事業は、今では35社の関係会社と複数のプロジェクトを同時進行で行うほど大きくなり、東神開発の未来を担う重要な事業の一つとなった。
プロフィール
※部署・仕事内容等は取材時点(2023年12月)の情報です
東神開発(株)事業創造本部 海外事業部 出向(現地法人 TOSHIN DEVELOPMENT VIETNAM LIMITED勤務)
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現地法人 社長 / 事業創造本部 副本部長/海外事業部 部長
勤務地:ベトナム ハノイ
佐藤 寿映
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現地法人 副社長 / 海外事業部 副部長
勤務地:ベトナム ホーチミン
遠藤 祐一
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ホーチミン開発・アセットマネジメント デパートメントヘッド
勤務地:ベトナム ホーチミン
兪 旭在
現地法人 TOSHIN DEVELOPMENT VIETNAM LIMITED メンバー
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ハノイ開発・アセットマネジメント デパートメントヘッド
勤務地:ベトナム ハノイ
Tran Thu Trang
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ホーチミン統括・総務 デパートメントヘッド
勤務地:ベトナム ホーチミン
Vu Thu Hien
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ハノイ統括・総務 アシスタントマネージャー
勤務地:ベトナム ハノイ
Hoang Thu Thuy
プロジェクト紹介
PHASE 01
プロジェクトをつかむため、寝る間も惜しんで取り組んだ日々
2007年、あてもない中ベトナムの地に降り立った。当時を振り返り、遠藤は「来たからには手ぶらでは帰れないと覚悟を決めた」と言う。日本と違いオープンソースの情報は限定的であり、情報を得るには自らの足を使う他なかった。現地のベトナム人とネットワークをつくり、文化やライフスタイル、開発物件の情報を掴んでいく。とにかく生きた情報を取得し、プロジェクトのチャンスを探っていった。
苦労をして得た開発案件は、すぐに日本に持ち帰る。ベトナムの法規も分からない状態で、寝る暇も惜しんで設計会社とデザイン設計案をつくり、翌月には提案する。しかし、実るのはほんの一握り。中には提案前に既に共同事業者が決まっているにもかかわらず、提案だけさせられるような案件もあった。その場合には、プレゼン責任を果たした上で、こちらが事情を知っていることを伝え、全ての提案を持ち帰り、こちらからプロジェクトを断るという行動をとったこともある。「もちろん演出もありますが、こちらの本気とスタンスをしっかりと伝える。やることはやる会社だと最初から印象付ける。そういう戦略も海外では大事でした。」こうやって、東神開発はベトナムにおけるポジションを築いていった。
PHASE 02
シンガポールの実績から掴んだ、大きな芽
2009年、開発機会獲得に奔走する中、ホーチミンにある高層ビルSAIGON CENTREの案件情報を掴んだ。主要株主のKEPPEL LAND(KL社)は、シンガポールの企業であり、シンガポール髙島屋の実績を高く評価していた。そこで、髙島屋ブランドの誘致、SC事業の強みをもとに、共同事業パートナーとしての協議を開始するが、これが現在まで続く関係性を築く土台となった。
当時の状況を兪はこう語る。「およそ3年間にわたりKL社と協議を重ねました。期待に応えられることを証明するためのマーケット分析では、ターゲットニーズを調査するため、実際にターゲットとなるお客様のお宅訪問を実施し、幾度も足を運んではお客様の身に付けている物やニーズを調査。百数十ページに及ぶプレゼンテーションも行いました。さらにはKL社とは共同事業となるのでM&Aという形での株式売買契約に必要な契約の根幹部分の理解。初めてで手探りな状態ながらも、弁護士事務所をつけ、自分たちで最終的な判断を行う。とにかく必死でしたね。シンガポールは日本と違い、契約に関して明確なものが求められる。あやふやにできない緊張感がありました。」
苦労が実り、無事に協議を乗り越え、2016年、ホーチミン髙島屋をアンカーテナントとする商業ゾーンを開業。その後、オフィス、ホテル・サービスアパート開業と複合物件を実現した。現在も、KL社とSAIGON CENTREの3期事業含め、更なる共同事業の検討も進めている。
PHASE 03
新都心の好立地ハノイでの新たな挑戦
このホーチミン案件はハノイの新都心の一つとなるスターレイクプロジェクトへと繋がることになる。佐藤は「日本では商業施設の開発がメインだが、海外では求められるところは全てやる」と言う。住宅開発から、SCとオフィスの複合施設の開発、不動産を軸とした学校事業のシリーズ化……。発展するマーケットのインフラ事業としてあえて枠は設けず、急成長するハノイのニーズにスピード感を持って応えていく。
事業が順調に拡大している一方で、課題はまだまだ山積みだと統括・総務のHienは語る。「ベトナムには特殊なビジネス慣習があり、自ら開発を行う場合には、事業毎に事業会社が必要になる。そこで、業務の効率化と各社のガバナンスの強化を目的に、2023年に現地法人を設立。しかし、今やオフショアSPCを含むと35社にのぼる各関係会社は、組織文化も違うため、会社ごとに事業構想や組織体制も最適化する必要もある。常に課題があり、それをどうやって乗り越えるかを考え実践する。毎日が挑戦と失敗の連続です。」
PHASE 04
東神開発だからできること
二子玉川からシンガポール、そして、ベトナム。創業からの挑戦が、現在のベトナムでの挑戦へと繋がる。それは、開発だけではない。長期的な視点で責任をもった運営管理。作業効率のいい少人数での運営や電気水道といったエネルギーの省コスト化、コミュニティ運営など、日本で築き上げている資産が今後海外で花開く。
もちろん海外だからこその苦労はたくさんある。ベトナムでは行政許認可の影響もあり、スケジュールは想定通りには進まない。また海外の企業に比べ、日本企業は社内承認プロセスが長く、現地パートナーの要望にタイムリーに応じられないこともある。さらに、建設管理、スケジュールマネジメント、コストカットなど、各局面においてパートナーとの合意は、かなり難しい。慣習が違い、摩擦や感情問題が起きてしまうこともしばしば。日夜色々なことが発生する。ただ、だからこそ、得られるものがあると現地メンバーは言う。最後に就活生に向けてメッセージをもらった。
佐藤 「やりがいは、人々に求められて開発したものが形として残り使われていくこと。開業後喜ぶお客様の様子を見た時には、苦労が吹き飛びますね。それに、海外でのビジネス経験は、本当に視野や見聞を広げることにものすごく役に立つ。日本から出て、日本人以外の人たちとビジネスをする。すごくおもしろいと思います。」
遠藤 「日本ではなかなか難しい大規模な開発がベトナムではできる。その土地で15年間実績を築いてきた土台の上で、開発にチャレンジしていきたい人にぜひ参画していただきたいと思います。」
兪 「海外で働く上で大切なのは、海外への強い興味と熱意だと思います。私はなにも経験や知識はなかったのですが、これまでずっと海外で挑戦を続けられている。東神開発には自ら切り拓いていける道があると思います。」
Trang 「ぜひベトナムに来てほしいです。日本以外で様々な事業に参加することは、大きな成長になります。挑戦を楽しんでください。」
Hien 「不動産業界は、伸びていく魅力的な業界。ここでの体験は、きっとユニークな経験になります。東神開発の海外事業は比較的に若く、これから整えていくところも多いです。種をまいたところから、成長し実るまでの感動がありますよ。」
Thuy 「自分のやりたいことにパッションを持って成果を出すまで挑戦し続ける。そんなチャレンジの精神をもっている方に来てほしいです。」
高い成長ポテンシャルを有するベトナムでの仕事は、人々に“求められる”ことに対して、開発することで応えていくことでもある。人に喜んでもらえることがより体感ができる世界で、今後はさらに情熱を持った人とともに新たな挑戦をしていく。